研究課題
挑戦的研究(萌芽)
本研究では、非対称大環状化合物ベンズイミダゾール[3]アレーンを配位子に用いて、銀塩との錯体形成により複雑な細孔構造を有する多孔性配位高分子を合成し、その細孔内での様々なゲスト分子の認識・配列構造について単結晶X線回折測定によって明らかにした。また、結晶を浸漬する溶媒に応じて多孔性配位高分子の構造が柔軟に膨張するとともに、それに伴って細孔壁面の分子認識サイトの構造も微細に可変することを見出した。
超分子化学、錯体化学
本研究で合成された多孔性配位高分子は、既存のMOFやPCP、COFなどの多孔性結晶と比べて非常に複雑な細孔および細孔壁面構造を有していることから、本成果は多孔性結晶の機能化における可能性を広げるものであり、実際に、複雑な細孔構造を反映した優れた分子配列能や構造柔軟性を有することが単結晶X線回折測定を中心とした分析によって明らかとなった。したがって、複雑構造の自己集合という学術的意義とともに、多孔質材料のより高次な機能化への展開を示したことによる社会的意義も有すると考えられる。