Ca2+はメッセンジャーイオンとして広く知られているが、細胞内Ca2+濃度の変化がなぜ多様な生理現象を起こすのかの説明は十分ではない。Ca2+濃度上昇→Ca/カルモジュリン複合体形成→標的タンパク質という経路で説明される。本研究により、Ca2+濃度上昇→Ca/カルモジュリン複合体形成→ホスファチジルイノシトールリン酸情報→標的分子という流れを仲介する分子PCaPを見出した。PCaPはCaシグナリングを脂質シグナルに変換し、細胞応答の多様性を支えると考えられる。植物ウイルス感染応答、植物免疫応答、根毛形成、水分屈性、気孔閉口などの現象に関与することも明らかにし、新しい展開の契機を与えた。
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