現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、Syn6256-16とSyn6256-12を温室で育てて農業形質の比較を行った。Syn6256が6倍体になった次の自殖世代で葉色が他と明らかに異なる個体Syn6256-12(変異型)が出現した。この個体は全染色体を有しているが粒重が小さかった。また、Syn6226とSyn6256-16も出穂期が微妙に異なった。また、幼苗のRNAシークエンス解析により遺伝子発現プロファイルを両親系統も含めて解析し、Syn6256-16, Syn6256-12間の違いを明らかにした。合成コムギの両親系統から得られたreadも含めてパンコムギ参照配列にマップしてトランスクリプトームの違いを全ゲノムで比較した。この生育不良系統は染色体数42本で正常だが、RNA-seq解析を行うと4B染色体長腕に大きく発現量の低下する場所が集中的に認められた。この領域が欠失しており、さらに系統から分離する個体によって欠失領域の大きさが異なることから、この生育不良系統では4B染色体が不安定化していると考えられた。また、この4B染色体を一部欠失の個体の1つの後代からは、1B染色体の一部も欠失した個体が出現した。すなわち、生育不良を示す系統では染色体上に新規の欠失が生じている可能性が高く、そのような個体の後代ではさらに新たな欠失が生じる可能性が高いと思われる。 根端をwhole mountでCENH3me2, H3K9me2抗体により免疫染色して透明化後、蛍光顕微鏡でヒストン修飾を解析する方法を検討した。しかし、実験自体はうまくいったものの、Syn6256-16とSyn6256-12の間で顕著な違いを見出すことはできなかった。この方法では細胞や染色体単位での観察は可能だが、解像度がさらに要求される場合には、ChIP-seqによってさらに解像度の高い解析を行うことが今後の課題となる。
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