研究実績の概要 |
みどりの香り(Green Leaf Volatiles, GLVs)を外因的に施与することによる緑葉の黄化および品質低下の抑制に与える影響について検証した。供試材料には人工気象室内で水耕栽培されたアルグラ(Eruca vesicaria)を用いた。約10 cmに成長した幼葉約23gを, 20 ℃に設定したインキュベーター内のチャンバーで6日間貯蔵した。実験の結果、trans-2-hexenalの曝露濃度が高濃度であるほど、目減りが大きくなり、萎れと葉身の収縮が観察された。本年度は、前年度までに調査した0.1 mL/d以下の施与量で貯蔵したものの、なお施与量過多であり, 細胞傷害が発生していたと考えられた。他方, cis-3-hexenyl acetateの施与区では、曝露濃度が高いほど目減りが小さくなった。試料の外観を画像補正用カラーチャートと共にスマートフォンで撮影し, 色補正およびCIE 1976 L*a*b*色空間への変換を施した後, 黄化指数とそのヒストグラムを算出した結果、cis-3-hexenyl acetate施与濃度の増加に伴い、緑色が維持されることが明らかとなった。目減りと黄化の進行を同時に考慮するために、黄化指数と収穫時との相対質量との比をとったところ、cis-3-hexenyl acetateの施与量が多いほど、その平均値, 中央値, ひげの上限がすべて最小となり, 75 %以上のピクセルで収穫直後の最大値を下回った。以上から, cis-3-hexenyl acetateの外因的施与は、アルグラの水分損失と黄化とを抑制する効果があり,アルグラの鮮度保持に有効であることが示された。
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