本研究では、パルス電子顕微鏡で蛋白質動態を観察するための溶液チャンバーの開発を行った。穴の開いたシリコンの上に40nmのSiN(窒化シリコン)膜を貼り付けたチップを作成、このチップを二枚貼り合わせることで、溶液ホルダを自作した。試行錯誤の結果、最終的には直径20 nmの金コロイドの溶液中の動きを、(パルス電子顕微鏡ではない)通常の熱電子放出型電子顕微鏡でコンスタントに観察できるほどのコントラストを得ることができた。市販の溶液チャンバーとの比較から、溶液薄さは100 nmを割っているようで、溶液観察の成功率も50%を越え、ほぼ実用レベルに達している。
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