研究課題
挑戦的研究(萌芽)
ラットを幼若期から繰返し撫でることで、ラットが撫でたヒトを区別して追随するといったペット様行動をとる。この動物モデルを利用し、馴れた実験者を社会的報酬として、社会的報酬の不平等をラットが識別できるか検討した。目の前で他個体のみを撫でるという社会的報酬の不平等をラットは識別し、特殊な超音波発声を行った。オキシトシン受容体の阻害実験により、愛着行動の発現にオキシトシン受容体は必須ではないことが示唆された。
生理学
不平等を嫌う感情や特定の相手との排他的関係を求める嫉妬感情は社会的規範・道徳性の起源に繋がる感情と考えられ、社会を構築するのに基盤的な社会的情動である。しかし、羨望・嫉妬の感情がどの程度生得的で生物学的基盤をもつものなのか、あるいは、社会的文化的に形成されるものかは分かっていなかった。本研究により集団生活を行う齧歯動物において社会的報酬の不平等を識別することが明らかとなり、その生物学的基盤を探求する道が開けた。