乳腺における免疫機構は、新生児の免疫系の構築や腸内細菌の制御の観点から重要であるが、先行研究が少なく、免疫細胞や遺伝子に関する基盤情報も限られている。本研究では、マウス乳腺に局在する乳腺IELを同定し、その調製・単離法を確立するとともに、高解像度の遺伝子発現データを取得した。乳腺IELは他の免疫細胞とは異なる特徴をもつ、新規のNKT細胞サブセットとわかった。また、乳腺IELによって産生され乳中に放出されるGranzyme分子群の欠損マウスを作製した。本成果は、乳腺の免疫系に関する研究資源を整備した学術的意義だけでなく、乳児の疾患治療と予防のための基盤知識の拡充につながる社会的意義を有する。
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