研究課題
挑戦的研究(萌芽)
本研究では、腫瘍内血小板が抗腫瘍免疫応答に与える影響を明らかにし、免疫チェックポイント阻害剤の治療応答性の改善に繋がる分子や経路を提示することを目的とした。その結果、がん細胞における血小板活性分子PDPNの発現亢進により、腫瘍内部の免疫細胞の存在比が変化することや、免疫細胞の遊走に寄与するケモカインの発現変動が生じることが明らかになった。本研究成果から、ある種のケモカイン分子の機能制御により抗腫瘍免疫の活性化を誘導することができる可能性が示唆された。
腫瘍生物学
血小板は、核こそないもののRNAを豊富に内包し、エクソソーム様小胞の放出と吸収を行うなど、止血応答のみならず生理的に多様な役割を持つ機能性膜分子である一方で、その小ささ故に解析が困難であることなどの理由から、腫瘍微小環境における役割は不明なままであった。本研究の遂行により、腫瘍内部の血小板が腫瘍微小環境を制御するその機序の一端を解明することができ、将来的には、免疫チェックポイント阻害剤の治療応答性の改善にも繋がり得る成果を提示することができた。