過敏性腸症候群では腸内細菌と脳画像がともに健常者と異なっていた。内臓刺激に対する視床下部-下垂体-副腎皮質反応がCRH負荷試験の反応性と並行すること、内臓感覚がストレス応答を左右すること、内臓刺激に対する反応の抑制は不安感受性の高さに関係することが明らかとなった。内臓刺激に対する内臓感覚・不安が背外側前頭前野、特に右側で処理されることが示された。過敏性腸症候群患者においては、腸内細菌が健常者と異なり、症状の悪化時に腸内細菌と代謝産物、神経伝達物質が動的に変化した。過敏性腸症候群の病態から得られた結果は、ストレス関連疾患全般に拡張することが可能であり、科学的・社会的意義が大きいと考えている。
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