研究課題
挑戦的研究(萌芽)
我々のような哺乳類の成体は損傷を受けた心筋を再生できない.この主な原因は,哺乳類の心臓ではほとんどの心筋細胞が出生後すぐの新生仔期に増殖能を失うことである.本研究では出生後の糖代謝から脂肪酸代謝への栄養状態の変化が心筋細胞周期停止を誘導しているというキー仮説を設定し,これを検証した.その結果,出生後の心筋細胞での細胞周期停止における脂肪酸代謝の重要性を明らかにし,出生後の細胞周期制御を担う新規因子を同定した.
再生生物学
我々を含む脊椎動物では,心筋細胞が細胞周期に入る能力と心臓再生能とは完全に対応しており,心筋細胞の細胞周期制御機構の理解は,新たな心臓再生法の開発のためには不可欠である.我々は出生後の心筋細胞において細胞周期制御を担う新規因子AMPKを同定した.本因子AMPKの操作により心筋細胞増殖による心筋再生が誘導可能であれば,心疾患に対する新規治療法の開発につながる可能性があると考えられる.