背景と目的:人工呼吸器療法は、重症な呼吸不全の患者に対し実施されるが、長期化すると人工呼吸器関連肺炎などの重篤な合併症を発症するリスクが高まる。人工呼吸器離脱の過程(以下ウィーニングとする)における早期離脱は、患者の日常生活動作やQOLを改善し、医療費削減の効果があるため、早期離脱に向けた援助が重要となる。熟練看護師のウィーニングにおける臨床判断の特徴を視線解析も用いて明らかにすることを目的に本研究に取り組んだ。ウィーニングにおける熟練看護師と新人看護師の臨床判断の特徴を視線(注視行動)の点から比較することで、熟練看護師の臨床判断の特徴が明らかになり、新人看護師に対するウィーニング時の教育の一助となると考え本研究に取り組んだ。 方法:データ収集は、視線計測器を装着したICU看護師に、研究者が作成した6項目からなるシミュレーション状況を見て貰い自発呼吸トライアルを勧めることを医師に相談するかの判断をしてもらった。また、データを見た理由とデータ選択の順番の理由についてインタビューした。データ分析は視線分析ソフトd-Targetを用いて①注視部位、②注視対象別注視配分、③注視対象別累積注視時間、④6項目の注視順序を分析した。 結果:研究開始後、コロナ禍になり研究参加者の確保に困難をきしたが、熟練看護師3名、新人看護師3名に参加して頂いた。注視対象別累積注視時間では、新人看護師・熟練看護師ともに経過表が一番多く、次に血液検査データであった。順序は、新人看護師と熟練看護師では違いが認められた。両者ともに結論を出すために複数回みていた項目もあった。注視対象別注視配分で一番配分が多かったのは両者ともに経過表であり、経過表と血液検査データで7割前後を占めていた。熟練看護師・新人看護師共にSBTを医師に勧めるという結論が多かった。
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