研究課題/領域番号 |
19K22898
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
山崎 峰雄 日本医科大学, 医学部, 教授 (10277577)
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研究分担者 |
小池 薫 京都大学, 医学研究科, 名誉教授 (10267164)
平川 慶子 日本医科大学, 医学部, 非常勤講師 (30165162)
葛谷 聡 京都大学, 医学研究科, 准教授 (30422950)
柚木 知之 京都大学, 医学研究科, 准教授 (50639094)
金涌 佳雅 日本医科大学, 大学院医学研究科, 大学院教授 (80465343)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2023-03-31
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キーワード | アルツハイマー型認知症 / 軽度認知障害 / 血清 / モード解析 / NMR / 振動工学 |
研究実績の概要 |
従来のアルツハイマー型認知症(AD)のバイオマーカーでは、アミロイドPET陽性、髄液リン酸化タウ増加を伴う髄液Aβ42の低下が、最も信頼性が高いものとして用いられてきたが、高価または侵襲性が高く、汎用性に欠ける。そのため、従来のバイオマーカーとは異なる早期診断が可能な、簡便かつ精度の高い血液を用いた検査法が望まれている。 さらに、従来のADのバイオマーカーは早期診断を第一の目的で考えられており、疾患修飾薬の効果判定、すなわち、症状(重症度)を判断するという視点での検討はほとんど行われていなかった。本邦でのaducanumabの申請承認は見送られたものの、その他の疾患修飾薬は早期承認をめざして、データを部分的に申請する段階的申請が行われており、数年以内に臨床現場に登場する可能性も出てきている。このような段階では、早期診断目的のみではなく、神経心理検査に代わって症状や重症度を判定可能なバイオマーカーの登場も必要となってきている。本研究は、このような視点でも進めている。 令和3年度は、令和元年、令和2年から引き続き、AD、健常高齢者、軽度認知障害(MCI)例に対して血清、髄液の採取を行う予定であったが、コロナ禍の影響で検査入院は減少し、検体採取計画は大幅に遅延した。しかし、認知機能と血清を用いたNMRモード解析で、症状や重症度をある程度反映するマーカーとなり得るかという検討も行った。この点は、令和4年度も継続して検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナ禍の影響下、検査入院がほとんど組めず、事前に想定した血清、脳脊髄液同時採取した症例が得られなかったため、予定していた検体を集めることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度は、コロナ禍の影響を受け、研究参加者の検体採取の予定も大幅に遅延したため、令和4年度に研究計画を改めて進めるべく、下記のように研究計画を立案した。 令和4年度は、令和2年度に導入した新しいNMR装置を使用して、引き続き、アルツハイマー型認知症(AD)と健常高齢者(NL)を識別できるかを、頭部MRI、脳血流SPECT検査に加えて、髄液マーカー(Aβ42、リン酸化タウ)を用いて診断したADおよびNLの血清を用いて、NMRモード解析を行って検討する。さらに軽度認知障害(MCI)を加えて検討し、3者が識別できるか検討する。同時に、髄液検体採取が十分に実施できない可能性も考え、病型・診断とは別に認知機能自体との相関があるかを血清を用いて検討することとした。 AD、MCIの識別モデルの作成・ブラッシュアップと検証を試みると同時に、認知機能を反映することが可能かを検討した上で、認知機能予見モデルの作成にも取り組む。 NMR計測解析と臨床情報収集の手法としては、血清を9.4テスラFT-NMR装置(JEOL)にてプロトン測定を行い、時間周波数解析する。結果をスペクトログラム表示した後、数値列として出力し、PLS-DA法などパターン認識による解析を行う。各検体に付随している血液生化学検査データ、画像所見、臨床経過を含めた臨床情報に関しては、インターネット非接続の専用PCに登録して解析し、得られた結果を取りまとめ、成果の発表を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
脳脊髄液を同時採取できた症例での血清での計測を相当数実施する予定で、その経費を計上していたが、コロナ禍の影響下で、予想を下回る採取率のために、計測費用が残った。また、会議開催および国際学会出席も予定していたが、中止したため、その費用が残った。 今年度は、コロナ禍の影響はまだ続くが、該当症例検体の計測を進め、本来の計画遂行すると同時に、新規に企画した認知機能予見モデルの作成のために、後方視的に集積された検体の計測も行う計画を立てており、計測費用を相当額支出する予定である。
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