研究課題/領域番号 |
19K22972
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研究機関 | 第一薬科大学 |
研究代表者 |
有馬 英俊 第一薬科大学, 薬学部, 教授 (50260964)
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研究分担者 |
城野 博史 熊本大学, 病院, 准教授 (40515483)
北岸 宏亮 同志社大学, 理工学部, 教授 (60448090)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2023-03-31
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キーワード | ゲノム編集 / デンドリマー / シクロデキストリン / 結合体 / mRNA / 3元複合体 / 肝臓ターゲティング / トランスサイレチン |
研究実績の概要 |
本研究では、申請者らが独自に開発した非ウイルスベクターであるポリアミドアミン (PAMAM) デンドリマー/シクロデキストリン結合体(CDE)に肝実質細胞上のアシアロ糖タンパク質受容体に対するリガンドを結合体したGN-PaCを用いたゲノム編集に基づく難治性遺伝子疾患治療に関する検討を実施している。特に本研究では、細胞における外来遺伝子の発現に大きなバリアとなっている細胞核膜を突破する必要のないCRISPR mRNAとガイドRNAとGN-PaCとの3元複合体を用いて、肝臓の難治性疾患であるトランスサイレチン(TTR)型家族性アミロイドポリニューロパチー(TTR-FAP)に対するゲノム編集に基づく根治治療を目的としている。2021年度は次のような検討を行った。PAMAMデンドリマーに肝実質細胞ターゲティングリガンド及びβ-シクロデキストリンを結合したGN-PaCを合成し、その構造やリガンドの置換度などについて検討した。PAMAMデンドリマー、CDEまたはGN-PaCと レポーター遺伝子であるルシフェラーゼmRNAとの複合体形成を電気泳動にて検討した。mRNAとPAMAMデンドリマー複合体、CDE複合体またはGN-PaC複合体をヒト肝実質培養細胞であるHepG2細胞に導入し、ルシフェラーゼ遺伝子の発現と細胞障害性について検討を行った。さらに、CRISPR mRNAおよびガイドRNAの構築に関する検討も行っている。研究業績に関しては総説1報の公表と学会発表2件を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2021年度も新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、研究室の利用が制限されたことなどが影響し、研究の進捗は遅れる結果となった。当初、(1)CRISPR mRNA及びガイドRNAの構築、(2)肝実質細胞特異的mRNAキャリアとしてのGN-PaCの開発、(3)これら複合体の調製と物理化学的性質の評価、(4)ヒト肝実質培養細胞(HepG2細胞)でのゲノム編集効率に関する基礎的検討を行う予定であったが、(2)、(3)及び(4)についての検討は実施できたが、mRNA/GN-PaC複合体のHepG2細胞への導入効率が低く、データの十分な検証を実施するに至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度も研究の進捗の遅れを挽回できなかったため、研究期間を延長して次の検討を行う予定である。(1)CRISPR mRNA/ガイドRNA/GN-PaCから成る3元複合体を用いた各種肝実質細胞におけるゲノム編集効率・細胞障害性に関する検討、(2)健常マウス及びFAPトランスジェニックモデルマウスにおけるCRISPR mRNAおよびガイドRNAの体内動態、ゲノム編集効果及び安全性に関する検討である。これらの検討を行うことにより、当初の目標である申請者らが開発した肝実質細胞特異的非ウイルスベクターを用いた肝臓の遺伝子疾患(難病)であるTTR-FAPに対する根治療法としてのin vivoゲノム編集技術の開発を進めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により研究の進捗が遅れたため
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