従来、天正遣欧使節と慶長遣欧使節は個別に研究されることが多かった。本研究は両使節に焦点をあて、その外交・美術面における関連性を調査した。本研究では、慶長遣欧使節を派遣した伊達政宗、そしてルイス・ソテロなど使節の構成員だけでなく、彼らを迎え入れたヨーロッパ人も、約30年前に渡欧した天正遣欧使節を意識していたと解釈する。また、両使節を描いた作品を包括的に分析し、特に彼らを描く版画、並びに彼らに纏わる情報がどのように伝達されまた受容されたか辿った。非ヨーロッパ圏の他国から渡欧した使節の図像も考察し、日本使節の描かれ方をより大きな国際的枠組みの中で調査した。
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