研究課題/領域番号 |
19K23087
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
水倉 亮 明治大学, 国際連携機構, 特任講師 (90848847)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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キーワード | 英語教育 / 教師教育 / トランスリンガリズム / アイデンティティ / 言語イデオロギー |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、多言語文化社会における言語教員のトランスリンガルアイデンティティの教育的有用性と英語教育改革に関わる言語イデオロギーの関係性を明らかにすることである。2019年度は、主に文献調査、インタビュー調査を行った。データ分析のための理論的枠組みの精度をより高められた点、研究の目的に沿ったデータ収集を進めることができたという点で、現代段階において意義のある成果を上げることができている。 本研究の研究計画調書作成段階においては、1)トランスリンガリズムの定義や英語教師教育に関わる議論 2)日本の英語教育に関わる社会的通念やイデオロギーの2点に関してはある程度先行研究をもとに文献調査を完了することができていた。1)と2)に関しては国内の学会で発表を終えている。しかし、さらなる文献調査の中でトランスリンガリズムへのパラダイムシフトが起こっている理由や根拠について理解が不十分であり、データの分析にはポスト人間中心主義の学術的背景を考慮しなければならないことが判明した。ポスト人間中心主義を考慮した理論的枠組みに関する議論のまとめについては、国際学会へ申請し発表することが決定している。 また、本研究の主となる調査対象は高校教員ではあるが、彼らのアイデンティティの教育的有用性と言語イデオロギーとの関係性を三角測量的に調査する上で、調査対象地域の多言語文化社会的特徴や他の高等教育機関や教育委員会からの視点も考慮する必要が生じた。2019年度は地域の特性や他の高等教育機関に所属する英語教員の視点を理解するために、学生や大学教員へインタビュー調査を行った。さらにトランスリンガルの研究は新しい分野であるため、スペインへ足を運び、インタビューのデータ分析に関して当該分野の海外の専門家からの意見を拝聴した。インタビューのデータ分析の結果は国際学会へ申請し発表することが決定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度は、データ分析のための理論的枠組みの精度を高めること、高校の英語教員を取り巻く環境や調査対象地域の多言語文化社会的特徴を明らかにすることを計画していた。以上の2点に関して、文献調査及びインタビュー調査を行いまとめることができた。また結果をまとめ国際学会に発表内容を受理された。したがって、おおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
国際学会への申請が2件受理され、2020年度中に研究発表をすることが決まっていたが、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて延期されてしまった。受理されている以上他の学会で同じ内容の発表が行えないため、先に論文にまとめるための準備を進める。また、データ収集に関しても今年度予定していた高校の教員や教育委員会関係者へのインタビューが直接出向いて行うことが困難であると考えられる。もし可能であればインターネットを通じたデータ収集ができないか打開策を検討中である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症拡大により、購入した物品の到着が年度内に間に合わない状況が生じた。また、当初の計画よりも多くの国際学会に申請し、発表を受理していただいたので、当初の出張計画が変更されたため。次年度使用額については、年度内に間に合わなかった物品の購入および変更となった出張に使用する。
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