本研究では、ミヒャエル・シュタッパートとアントン・プレトリウスという二人の聖職者が魔女裁判について記述した史料を通じて、当時の聖職者たちがどれほど法学的な専門知を有しているのかを確認した。彼らは、少なくとも魔女裁判を批判する中では、刑事法的な専門的知識をほとんど利用していないように見える。このことがただちに当時の聖職者たちの法学的無知を示すわけではなく、法学的な議論を織り交ぜつつ魔女裁判を批判したタナーやシュペーの例もある。しかし、近世の聖職者たちの法学的な知の水準について、一定の示唆を与える研究となった。
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