研究課題
研究活動スタート支援
本研究プロジェクトは,わが国における地方公共団体が開示する統一的な基準に基づく公会計財務諸表が,地方債市場に対して意思決定有用性を有しているか否かを,地方債格付や地方債金利情報等のデータを用いて実証的に検証するものである。研究の結果,わが国の地方債金利情報は,統一的な基準に基づく公会計財務諸表の情報の一部と有意な関連性を有することを明らかにした。この結果は,公会計と地方債との関係性に関する一層の研究の必要性を示唆するもので,今後の研究展開を図るうえで重要な手がかりとなるものである。
地方公会計と債券分析
わが国の地方債市場は国際的にも巨大な規模を誇り,地方債は非政府保証債であるが,そのリスクは事実上国債と同等であるとする「暗黙の政府保証論」が存在する。しかし一方で,地方債の銘柄間には金利差が存在する。この金利がどのように定まるか,統一的な見解は得られていなかった。公会計情報が金利差に影響するとすれば,公会計情報がどのような意義を有するのかという観点と,地方債金利がどのようにして定まるのかという2つの学術的観点から重要である。