研究課題/領域番号 |
19K23233
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研究機関 | 明治学院大学 |
研究代表者 |
坂本 陽子 明治学院大学, 経済学部, 講師 (90846007)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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キーワード | 多国籍企業 / イノベーション |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、多国籍企業のイノベーション活動が国際的にどう展開されているのかを明らかにし、その要因を分析することである。令和二年度は、初年度に引き続き先行研究の整理と多国籍企業のイノベーション立地選択を説明する理論モデルの検討を行った。 本研究が対象としているのは、国際的に生産活動を展開している多国籍企業である。理論モデルでは、イノベーションの立地選択を行う多国籍企業が直面するproximity advantageとimitation riskとの間のトレードオフに着目してモデル構築の検討を行った。このトレードオフの意味するところは、イノベーションを本国から海外の生産拠点の近くに移すことでイノベーションの成果をより効率的に生産活動に反映できるが、生産拠点での知的財産権保護が完全でない場合、それによって現地でイノベーションの成果を模倣されるリスクが高くなってしまうということである。 本モデルではこのトレードオフに影響を与える要素として、「製品寿命」と「中間財貿易」の二点に注目している。製品寿命については、模倣されることの損失は寿命が短い(陳腐化のスピードが速い)財ほど少なく済むというメカニズムを通じて、企業のR&D調達場所の決定に影響を与えている。また、中間財貿易については、knowledge content of tradeという考え方に立ち、企業内貿易によってイノベーションの成果物を別地点で共有することができるときに、企業のイノベーションの立地選択が影響を受けることを示すことができる。 今後は、中間財貿易にさらに焦点を当て、企業の海外展開が水平的に行われているのか(輸送費用の節約のための多国籍化)、垂直的に行われているのか(生産費用を節約するための多国籍化)を注意深く検討しながらモデルを完成させていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本年度は多国籍企業に関するデータの特徴づけと理論モデルの構築を行う予定であったが、現時点では本格的なデータ分析は始められていない。 主な理由としては、研究代表者の療養および出産に伴う休業による研究の中断である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、まずは日本に本社を置く多国籍企業の個票データを取得し、R&D調達の国際展開のあり方をデータから明らかにする。そして、理論モデルを用いた仮説を元に実証分析を行い、イノベーションの国際的な展開の背後にある要因を明らかにする計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
旅費を計上していたが、コロナ禍などの理由により出張が取りやめになったため。また、休業による研究の中断でデータ分析が進まず、調達予定だった統計ソフトの購入を行わなかったため。
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