研究課題
研究活動スタート支援
本研究では、農山村の持続性に離農者がどのような影響を与えているか、個人生活史を通じてその一端を読み解こうとした。調査地である北海道紋別市では、農村部の持続性を考えて行く上で、酪農経営の継承可能性が重要な検討事項となる。しかしながら、フィールドワークを通じて見えてきたのは、自ら望んで積極的に在村離農を選択した高齢者の生活像であり、離農が家族酪農経営の継承に困難をもたらす一方で、当事者にとって肯定的側面も持っていることが明らかになった。
民俗学
従来、農山村の持続性をめぐる議論において、農山村の多面的機能の維持や生きがいに繋がる高齢者農業は肯定的に評価されてきた。一方、農業を継続しないという選択が当事者にとってどのような意味を持っていたかについては、十分に調査研究されてきていない。当事者にとっての離農の肯定的側面も視野に入れ、生活の場としての現代農山村のあり方を多面的に検討していくことの重要性を「在村離農」の実態を通じて示唆した点に、本研究の意義を見出しうる。