研究課題/領域番号 |
19K23319
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
豊福 彬文 宮崎大学, 国際連携センター, 客員研究員 (00843319)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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キーワード | 創作ダンス / EDU-Portニッポン / SDGs / 誰一人取り残さない世界 / 日本型教育の海外輸出 |
研究実績の概要 |
本研究は、申請者が「平成26年度文化庁新進芸術家海外研修制度(研修区分:調査研究)」で調査したルーマニアのダンス教育の実態(全ての子供に「ダンス」の学びが保障されていない)が研究動機の発端となっている。研究着手のきっかけは、2016年の「倉敷宣言」と、同じく2016年にスタートした「日本型教育の海外展開事業」(EDU-Portニッポン) である。この事業を活用すれば、日本型教育の「創作ダンス」で「誰一人取り残さない世界」(SDGs)に貢献できるのではないか、と考えた。これが、本研究の動機であり、上位目的である。この上位目的を達成するために、2つの下位目的を設定した。その一つは、 NPO法人MIYAZAKI C-DANCE CENTER(以下、「NPO法人MCDC」という。)が応募し、採択・実施したルーマニアの取組(2017年度「EDU-Portニッポン」応援プログラム)を展開モデルに、クロアチアやアメリカ(先進国の中でも、子供の貧困の格差が急激に広がる傾向にある国)へ「創作ダンス」を輸出することであり、他の一つは、クロアチアやアメリカでの実践研究を通して、この展開モデルの汎用性(殊に、子供の貧困とその格差の解消を課題とする国の汎用性)を実証することである。 研究成果の波及効果としては、小集団で協働し、正解のない課題に創造的・創作的に取り組む活動(創作ダンス)を通して、多様な価値観が存在する国々の子供たちの貧困の連鎖を断ち切るような力(他者認識、自己認識の力の向上、「伝える力」の向上、自己肯定感と自信の醸成)の向上が期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年1月下旬から2月初旬にかけて、アメリカのジャクソンビル大学芸術学部と連携し、学生(約80名)を対象に日本型教育『創作ダンス』のワークショップ&デモンストレーションを実施することができたが、その後、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、2020年度に予定していた海外での研究活動がすべて延期・中止となった。しかし、リモートで現地のキーマンやハブとなる団体と繋ぎながら、withコロナで持続可能なプログラムを構築することができた。 ブカレスト日本人学校、上海日本人学校虹橋校とリモートで遠隔授業を実施した(2020年11月)。香港とカナダと日本のダンス関係者でリモート開催した「Children Creative Movement Forum」に登壇し、本研究の実践報告を行なった(2021年1月)。対面とオンライン配信のハイブリット方式で開催された文部科学省「日本型教育の海外展開推進事業(EDU-Portニッポン)」シンポジウムでは、本研究の成果発表を行なった(2021年3月)。 当初予定していた研究計画からいうと順調に進展しているわけではないが、このコロナ禍だからこそできることに取り組むことができている。
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今後の研究の推進方策 |
海外への渡航は予定せず、新型コロナウイルス感染症の拡大防止などの観点からウェブ会議やリモート手法を積極的に活用していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由としては以下の通り。 令和2年1月末から2月頭までアメリカに滞在し、研究活動も順調だったが、2月頃より影響が出始めた新型コロナウイルスの国内感染の拡大に伴い、4月5月開催の国際ダンスキャンプ(主催:Shouze Arts Center)が中止となった。また、10月11月の期間に、予定していた連携団体(Gong theatre/ルーマニア)による授業実践及びその撮影とそれに向けた現地打ち合わせが、同様に新型コロナウイルスの感染の拡大に伴い延期せざるを得なくなった。これらのことから、旅費及び人件費、謝金を執行できなかったため次年度使用額が生じた。 次年度期間中は、対面ではなく、オンラインによる「創作ダンス」の輸出に切り替え、それに伴う、ワークショップの講師謝金や、オンライン接続機器等に使用する予定である。新型コロナウイルスの収束後は対面の実施も検討したい。
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