阪神・淡路大震災被災地域の公立学校では「震災学習」と呼ばれる教育実践が四半世紀以上続けられてきた。これは、狭義の防災教育と災害伝承と地域死者の追悼が組み合わされたものである。 本研究はこの震災学習を学校で受けてきた人々を対象として、彼らの感受性の発達と災害伝承の実態を解明する。 阪神・淡路大震災時に乳幼児で、震災学習を地域内で受けてきた複数の若者にインタビュー調査を実施した。その結果、震災の明確な体験をほぼ持たないものの震災のことを身近に感じ、使命感などを意識する一種の当事者性をかれらが持っていること、その当事者性の醸成に家庭での伝承と震災学習が相乗効果を及ぼしていることを明らかにした。
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