本研究は,身体へ接近する視覚情報による体性感覚事象の予測の形成過程を解明することを目的とした.研究成果として,視覚刺激の接近がその後の触覚事象の予測自体を容易にすることを示された.具体的には,身体へ視覚刺激が接近することで,第一次体性感覚野近傍の電極(C3,C4)において体性感覚刺激の呈示前約300 msからβ帯域の周波数スペクトラパワー値が抑制された.体性感覚刺激呈示前のβ帯域の抑制は次に呈示される体性感覚刺激が予測可能な際に生じる.本研究の成果は,外傷の回避や他者との社会的相互作用にとって重要な体性感覚の予測が,身体へ接近する視覚情報によっていかになされるかを明らかした.
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