鉄筋コンクリート造部材における中性化(炭酸化)や水分移動に関して,支配的な影響を及ぼすと考えられるセメント硬化体を対象に実験を行い,以下の成果を得た。①平衡時の含水率は中性化によって低下し,中性化後の平衡含水率曲線は水粉体比やセメント種によらず同様の形状を示す可能性があることを示された。②水分拡散係数は,炭酸化の度合いによって変化するが,この変化を空隙構造を指標とする単一の式によって評価できる可能性を示した。③促進炭酸化の過程でセメント硬化体表面に発生する微細なひび割れは,水分拡散係数の変化には大きな影響を与えないものと考えられる。上記の他,吸水速度への炭酸化の影響についても検討を行った。
|