本研究では、三次元デバイスによる秩序ある大脳組織の構築を行った。三次元デバイスを用いることで、従来の自己組織化によるオルガノイドと異なり、灌流により組織内に栄養素や酸素の濃度差が生じ、細胞の分裂速度や移動方向を制御できる。そのため、本技術により大脳に限らず中脳や小脳などにおいても、秩序ある組織の作製を可能にする。加えて、肺や膵臓など様々な組織への適応が期待できる。したがって、本研究により作製された組織モデルは発生原理や構造的意義の理解、創薬や再生医療へ用いることで、組織構造に異常をきたす発達障害や先天性疾患の解明、オーダーメイド医療も期待できるなど、基礎医学に資する新たな研究ツールとなる。
|