研究課題/領域番号 |
19K23613
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0403:人間医工学およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
赤木 祐香 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究員 (50849544)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 細胞工学 / 幹細胞 / 神経 / 大脳組織 / ティッシュエンジニアリング / 多能性幹細胞 / 大脳 / 灌流 / ティシュエンジニアリング / 脳 / 再生医療 / 組織工学 |
研究開始時の研究の概要 |
“ミニブレイン”と呼ばれるヒト脳に似た立体構造を示す脳オルガノイドが注目されている。しかし、脳オルガノイドは無秩序な自己組織化により形成されるため方向性を持たず、ヒト脳とは似つかない歪な構造を示し、脳発生機構の解明等に向けた研究ツールへの応用を妨げている。本研究では、灌流型デバイスシステムにより、in vitroで3次元の組織構築を制御し、秩序ある脳組織を作成する。具体的には、iPS細胞由来の細胞を含む組織ゲルをデバイスに組みこみ、培地を送液することで細胞の分裂速度や移動方向を制御する。これにより誘導された組織は層構造を有すため、脳発生の理解、高度の薬物試験や疾患モデルへの応用が期待される。
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研究成果の概要 |
本研究は、組織の成り立ちや構造までも再現したヒト大脳組織の作製を目的として行った。そのため、ヒトiPS細胞からの大脳組織の誘導技術と三次元デバイスを用いたティッシュエンジニアリング技術を複合した研究を行った。まず、ヒトiPS細胞から大脳組織へ誘導する手法を確立した。次に、組織構築に必要なハイドロゲルの条件検討を行った。見出した分化誘導手法およびゲル条件に基づき、灌流型デバイスによる秩序ある組織構築を試みた。しかし、ゲルの収縮や流路の縮小により長期培養は困難であり、大脳組織特有の構造形成は確認できなかった。長期培養に適したハイドロゲルの検討と、デバイスの再設計が今後の課題である。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、三次元デバイスによる秩序ある大脳組織の構築を行った。三次元デバイスを用いることで、従来の自己組織化によるオルガノイドと異なり、灌流により組織内に栄養素や酸素の濃度差が生じ、細胞の分裂速度や移動方向を制御できる。そのため、本技術により大脳に限らず中脳や小脳などにおいても、秩序ある組織の作製を可能にする。加えて、肺や膵臓など様々な組織への適応が期待できる。したがって、本研究により作製された組織モデルは発生原理や構造的意義の理解、創薬や再生医療へ用いることで、組織構造に異常をきたす発達障害や先天性疾患の解明、オーダーメイド医療も期待できるなど、基礎医学に資する新たな研究ツールとなる。
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