昆虫寄生菌を土壌生息害虫の防除に効果的に利用するためには、土壌環境が昆虫寄生菌の生残や感染に及ぼす影響の理解が重要である。本研究では施設栽培作物の重要害虫であり蛹期を土壌表層で生活するミカンキイロアザミウマを対象として、土壌環境の昆虫寄生菌への影響を評価し、土壌中での発芽能力が低い菌株でも高い防除効果と土壌定着能力を示し得ることを明らかにした。また、アザミウマ蛹に対する病原性に関して、第1蛹よりも第2蛹の方が感受性が高いことや、蛹期の感染により羽化成虫において翅形成異常が生じるなど新規の重要な知見が得られた。本成果は昆虫寄生菌の土壌導入による効果的なアザミウマ防除法の開発に資する。
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