近年、患者の免疫細胞を標的とした腫瘍免疫療法が明確な臨床効果を認め、新たな腫瘍治療法の一つとなった。なかでも、遺伝子改変T細胞療法は、人血液腫瘍患者において、劇的な治療効果を認め、その固形腫瘍への応用が期待されている新たな治療法である。本研究では、犬固形腫瘍を標的とした遺伝子改変T細胞療法の開発に必要な標的抗原やT細胞の培養法の実証に成功し、腫瘍免疫学分野の発展に大きく貢献した。また、発見した標的抗原は、抗体療法など別の腫瘍治療法の研究や犬腫瘍の病態解明研究への応用性も高く、獣医腫瘍学的にも価値ある成果を報告できた。
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