研究実績の概要 |
本研究では皮膚T細胞リンパ腫(cutaneous T-cell lymphoma: CTCL)における新規治療ターゲットの模索としてOX40およびOX40リガンド(OX40L)に注目している。 これまでの成果としては、CTCL患者および健常者の皮膚組織を用いてOX40やOX40Lの発現を免疫染色で解析したところ、CTCL腫瘍細胞はOX40とOX40Lを共発現していることが確認できた。またCTCL患者および健常者の皮膚におけるOX40やOX40LのmRNA発現を定量的RT-PCR法で測定したところ、CTCL病変部皮膚組織ではOX40とOX40Lの発現が上昇していた。セザリー症候群の末梢血単核球を分離し、フローサイトメトリーでCD4陽性CD7陰性の異型リンパ球のOX40とOX40Lの発現を解析したところ、腫瘍細胞はOX40とOX40Lを共発現していることがこちらでも確認できた。以上の事実から、CTCLの腫瘍細胞においてOX40とOX40Lが共発現しており、腫瘍進展に何らかの寄与がある可能性が示唆された。 CTCLヒト細胞株を用いて、OX40とOX40Lの機能について検討することとした。CTCL細胞株である、Myla cell, SeAx cell, Hut78 cell, MJ cell, HH cellを用いて、抗OX40中和抗体や抗OX40L中和抗体で相互作用をブロックすることや、リコンビナントOX40Lタンパクを用いてin vitroでの細胞増殖、生存の変化を解析したところ、抗OX40中和抗体や抗OX40L中和抗体で腫瘍細胞の増殖や生存が阻害されることがわかった。OX40やOX40Lが腫瘍細胞において増殖や生存に寄与していることが解明できた。
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