進行がんの治療後再発は、がん関連死として最も多い。中でも薬剤抵抗性を持つ再発がんは難治性であり、この課題の解決には社会的意義がある。Ca2+シグナルは種々のリン酸化反応や遺伝子発現の調節におけるセカンドメッセンジャーとして働き、広く生物に保存されている。一方、がんにおけるCa2+シグナルの研究は少ない。本研究は、新しい着眼点からがん細胞における薬剤抵抗性獲得メカニズムの解明に取り組んだ点に学術的な新規性がある。成果として、薬剤抵抗性の獲得との関連が示唆されるCa2+ポンプを同定した。さらなる研究によって、新たな分子標的とすることや、薬剤抵抗性を示すマーカーとして利用できる可能性を示す。
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