肝虚血再灌流障害は術後肝不全やグラフト拒絶の要因となるため,その予防は移植医療における重要な課題である。本研究では,非吸収性の抗生剤であり長期間の投与が比較的安全に行えることが報告されているリファキシミンが,マウス肝移植モデルにおいて虚血再灌流障害を緩和することを示した。臨床における肝移植レシピエントは術後に免疫抑制剤による治療を要するため,吸収性の抗生剤を術前のレシピエントに長期間投与することは,耐性菌の出現や難治性感染症を引き起こす可能性が危惧される。そのため,非吸収性で長期間投与が可能なリファキシミンによる肝保護効果が示された本研究は,今後の臨床応用の礎となりうる考えられる。
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