研究課題
関節リウマチや歯周病などに認められる炎症性の骨破壊、ならびに骨粗鬆症など加齢に伴う過度な骨吸収は、患者のQOLを著しく低下させる。本研究で着目する機械的刺激は、骨芽細胞のみならず骨表層で骨吸収を担う破骨細胞にも負荷され、両細胞の分化と機能に影響すると考えられる。事実、動物実験において、歯科矯正治療器具を装着して外力を加えた骨面には、骨芽細胞、骨細胞、破骨細胞が観察されるとともに炎症性因子の産生が促進していることが報告されている。本研究の目的は破骨細胞の機能(骨吸収能、骨芽細胞分化調節機能)に及ぼす炎症性因子と機械的刺激の影響を検討することである。骨芽細胞および破骨細胞は骨代謝において重要な役割を果たしており、骨形成、骨吸収に相互に作用している。以前の研究では骨芽細胞のRANKLに対する破骨細胞の受容体、RANKが圧迫力により増加し、破骨細胞の発現に影響を与えることを明らかにした。Sema4Dは破骨細胞より放出され、骨芽細胞のplexin-B1受容体を介して骨形成を抑制するが、破骨細胞におけるSema4Dに対する圧迫力の影響については報告されていない。そこで破骨細胞様細胞RAW264.7のSema4Dに対する持続的な圧迫力の影響について検討した。本年度はSema4DのPCR反応の特異性を検討し、熱融解曲線の分析で特異性の高いプライマーで再検討した。その結果、TRAP陽性の多核細胞は圧力依存的に増加したが、Sema4Dはそれに反比例し減少した。また骨芽細胞に対して持続挺な圧迫力を負荷することでRunx2とType1コラーゲンを増加させ、骨形成を促進することが示唆された。
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