本研究の目的は、Lynx1の発現を制御することによって、脳梗塞慢性期の運動機能回復を促進できるのかを検証することである。本研究ではこれまでに、Photothrombosis法によって運動野を中心とした脳梗塞モデルマウスを作製し、脳梗塞発症前後でのLynx1の発現細胞や、脳梗塞後のLynx1の経時的な発現量変化を明らかにしてきた。 本年度は、大脳皮質運動野第5層ニューロンにおいてLynx1の発現を抑制するとともに、当該ニューロン由来の樹状突起上スパインを二光子励起顕微鏡によって観察する実験系を構築した。具体的には、まず、蛍光タンパクを発現する逆行性アデノ随伴ウイルストレーサーを頚髄に注入し、大脳皮質運動野第5層ニューロンを特異的に標識した。次に、アデノ随伴ウイルストレーサー注入から2~4週間後に、大脳皮質運動野上に観察窓を作製することで、第5層ニューロン由来の樹状突起上スパインを観察できることを確認した。
|