脳梗塞によって生じる運動麻痺は脳梗塞後急性期から亜急性期にかけて部分的に回復する一方で、慢性期にはあまり回復しない。これは、梗塞巣周囲での神経回路の再編が徐々に起こりにくくなるためと考えられているが、その具体的なメカニズムは不明である。本研究では、視覚野において臨界期を制御するLynx1に着目し、Lynx1が神経回路の再編を制御している可能性を検証した。その結果、Lynx1はこれまで着目されてきた抑制性介在ニューロンに加え錐体細胞にも発現することを見出した。また、脳梗塞前後でのLynx1発現変動を評価したところ、脳梗塞周囲において、Lynxは経時的な発現変動を示すことが明らかとなった。
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