研究準備:気象衛星ひまわり8号データを陸域観測に適用するための準備として行った、地理位置情報(geolocation)の精度検証に関する論文が国際学術誌「Remote Sensing」に採択され、新世代静止衛星に関する特集号にFeature Paperとして掲載された。 計画テーマ(2) 2018年の東アジア猛暑の発生期間における地表面温度をひまわり8号データを用いて高頻度で推定し、さらに熱力学モデル(Diurnal Temperature Cycleモデル: DTCモデル)を用いて温度日変化の波形を定量化した結果、植生域において、植生の乾燥化を示唆するシグナルが検出できていたことが分かった。さらにそのシグナルを、韓国と日本の森林サイトで現地観測された熱フラックスとCO2フラックスと比較した結果、植生の乾燥化と対応していたことが検証された。この結果は日本気象学会2020年秋季大会と日本リモートセンシング学会第69回学術講演会で発表した。また、現在は国際学術誌の投稿にむけて執筆段階にある。 計画テーマ(3) 関東、東海、関西の都市域において地表面温度情報の高解像度化を行う予定であったが、教師データの入手が困難であったため、まずはそのままの解像度で解析した。その結果、猛暑によって大きく高温化する地域は、3都市で共通して土地利用と標高、沿岸からの距離でおおよそ説明できることが分かった。また、計画当初は「猛暑で熱くなる地域は、低い熱慣性を持つ(熱しやすく冷めやすい)土地利用である」と予想していたが、実際はそうはならず、標高や沿岸からの距離、つまり気象要素による影響も大きいことが分かった。この結果は、日本気象学会2021年秋季大会で発表する予定にあり、現在国際学術誌の投稿にむけて執筆段階にある。
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