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2023 年度 実施状況報告書

グローバル時代における漁業法政策の日韓比較研究―国際規範の受容と伝統的秩序の変動

研究課題

研究課題/領域番号 19KK0028
研究機関北海道大学

研究代表者

児矢野 マリ  北海道大学, 大学院法学研究科, 教授 (90212753)

研究分担者 阪口 功  学習院大学, 法学部, 教授 (60406874)
松本 充郎  大阪大学, 大学院国際公共政策研究科, 准教授 (70380300) [辞退]
神山 智美  富山大学, 学術研究部社会科学系, 教授 (00611617)
田中 良弘  立命館大学, 法学部, 教授 (10766744)
河 錬洙  北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (50435989)
権 南希  関西大学, 政策創造学部, 教授 (90570440)
研究期間 (年度) 2019-10-07 – 2025-03-31
キーワード漁業法政策 / 韓国 / 比較 / 国際法 / 漁業資源管理 / IUU漁業規制 / 海洋保護区 / 漁業外交
研究実績の概要

本研究では、研究期間に7つの作業(①基盤構築、②韓国の国内法・政策の分析、③国際規範の受容と伝統的秩序の変動プロセスの分析、④国際的な基本理念に照らした韓国の漁業法政策の評価、⑤漁業外交と国内法・政策の関係の分析、⑥日本への示唆の整理、⑦国際的な公益実現に向けた日韓両国の役割の検討)を段階的に行う。本年度は、コロナ感染症問題の収束を受け対面とオンラインを併用しつつ複数の企画を実施し、一定の成果を上げた。
すなわち、下記を通じて各自の分担及び全体の協働作業を進めた。第1に、韓国海洋水産研究所長のDr. Lee Kwang-Namを招き、「韓国の水産政策と法制度」に関するオンライン・セミナーを開催した(4月)。第2に、KMIが本務にて来日した機会をとらえて、KMIの日韓間の比較分析を相互に進めるため、3日間の日程にて北大で合同セミナーと研究打合せを実施した(7月)。第3に、KMIの研究者を札幌に招聘し、本年度秋に実施予定の韓国調査計画に関する打合せを実施した(8月)。第4に、日本側メンバーで韓国を訪れ、関係機関のヒヤリング調査を行うと共に、KMI(釜山)を訪れて研究会合および打合せを実施した(10月29日~11月5日)。訪問先は、KMI、韓国海洋環境管理公団、韓国海洋水産部、カロリム湾MPAに関してテアン海洋産業課、麗水(YEOSU)海洋法アカデミー、麗水(YEOSU)周辺の養殖見学(カキ・ムール貝の養殖場)として閑麗(ハンリョ)営漁組合、チャンフン養殖ノリ業者フィールド調査、南道自然生態研究所、韓国国立海洋博物館などである。韓国の専門家の聴取調査および現地視察により、沢山の有益な情報を収集し、関連する最新の知見を得た。第5に、12月と3月に各1回、日本側メンバーがオンラインにて研究会合を開催し、それまでの各自の研究成果について報告して討議を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

本研究は、国際規範の受容による国内の伝統的秩序の変動という視点で、日本との比較において韓国の漁業法政策について実証分析して日本にとって有益な示唆を得ることを目的とする研究である。韓国の政府系研究機関(KMI: Korea Maritime Institute)との国際共同研究として、日本側メンバーが韓国に赴き、KMIの共同研究者と協働(合同セミナー・ワークショップの開催、韓国の関係機関のヒヤリング調査、地域漁業に関するフィールド調査等)して研究を遂行することを本旨とする。しかし、研究初年度の日韓関係の急激な悪化を理由にKMIの側による合同企画開催の自粛に加え、コロナ感染症の蔓延問題による日韓両国の入国規制措置により、対面での合同企画、韓国関係機関の訪問調査、現地フィールド調査を、ほぼ約3年間実施できなかった。その代わりに、KMIによる合同企画自粛の解除後はオンラインによる合同企画(セミナー、ワークショップ、オンラインカフェ)を実施し、本年度からは積極的に相互交流と現地調査を活発に実施して遅れの挽回をめざしてきた。とはいえ、韓国に渡航できなかった過去約3年間の研究計画の実施の遅れを取り戻すには至っていない。そのため、本研究の進捗は遅れている。

今後の研究の推進方策

本研究は本年度が当初研究期間の最終年度であったが、既に述べたようにコロナ感染症の蔓延により研究計画は大幅に遅延している。したがって、研究期間を延長したため、来年度が本研究の最終年度となる。ようやく軌道に乗り出した現地調査を、イシューごとに綿密に進めて遅れを取り戻すべく、1)日本側では各自の分担に従い文献調査を進め、得た知見を定期的に持ち寄り議論して深堀作業を続け(日本側の勉強会を3回程度)、2)本年度拡張した韓国内のネットワークを各自が活用し、各自が自身の分担について韓国への渡航を伴う現地調査・資料収集などを行い、各自の作業を進めるとともに、3)KMI及びKMIの紹介による韓国の専門家との合同セミナーを、オンラインと対面で複数回実施することにより、さらなる知見の集積・分析に努めつつ、4)KMIと事前に詰めた準備を行ったうえで、本年度内に日本側メンバーがグループで韓国を訪問し、KMIとの第4回合同企画、現地調査、関係機関の訪問などを実施しつつ、研究成果のとりまとめを行う。

次年度使用額が生じた理由

2022年度末から日本側グループによるKMIを含む韓国訪問と現地調査の実施がようやく始まり、本年度は1週間に渡る現地調査を1回だけ実施することができたものの、それまではコロナ感染症問題により韓国訪問と現地調査をできなかった。したがって、KMIとの合同企画や韓国の現地調査にかかる経費の使用額が、全体として想定よりもかなり少なかったため。
次年度には、1)本年度拡張した韓国内のネットワークを各自が活用し、各自が自身の分担について韓国への渡航を伴う現地調査・資料収集などを行うための旅費・謝金・通訳費用、2)日本側メンバーがグループで韓国を訪問し、KMIとの合同企画を再度実施しとりまとめを加速するための旅費・通訳・テープ起こし費用・資料収集等で、新年度の研究費と合算して残額を使用する予定である。

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うちオープンアクセス 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 3件、 招待講演 3件) 備考 (3件)

  • [国際共同研究] KMI: Korea Maritime Institute(韓国)

    • 国名
      韓国
    • 外国機関名
      KMI: Korea Maritime Institute
  • [雑誌論文] 海洋の天然資源の利用と管理2024

    • 著者名/発表者名
      児矢野マリ
    • 雑誌名

      柳井俊二【編著】『海と国際法』(信山社)

      巻: ―― ページ: 59―102

  • [雑誌論文] 日本とロシアの漁業問題と国際法――グローバル・リージョナル・ナショナル・ローカルな文脈で持続可能な漁業を考える――2023

    • 著者名/発表者名
      児矢野マリ
    • 雑誌名

      北大法学論集

      巻: 74巻2号 ページ: 159―191

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 「海岸」と海岸法を考える―防災と生態系保全の観点から2023

    • 著者名/発表者名
      神山智美
    • 雑誌名

      九州国際大学法学論集

      巻: 29巻1・2号合併号 ページ: 61―104

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 水産資源保護の実施過程――国際条約の実効性確保の観点から2023

    • 著者名/発表者名
      田中良弘
    • 雑誌名

      行政法研究

      巻: 53号 ページ: 231―251

  • [学会発表] 日本における外国人材の受入れの動向と課題―行政法の観点から―2024

    • 著者名/発表者名
      田中良弘
    • 学会等名
      韓国法制研究院2024年第1回グローバル・リーガル・フォーラム
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Laying the Groundwork for Sustainable Fisheries in Japan2023

    • 著者名/発表者名
      SAKAGUCHI, Isao
    • 学会等名
      Pew Marine Fellow Annual Meeting 2023
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Governance Deficit of Global Meta-governing Schemes: The Case Study of GSSI's Recognition of MEL Japan2023

    • 著者名/発表者名
      SAKAGUCHI, Isao
    • 学会等名
      4th Fox Fellowship Reunion Conference: Coordinating Global Communities, Panel Four: Centralized Coordination
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 韓国の海洋保護区(MPA)制度について2023

    • 著者名/発表者名
      河錬洙
    • 学会等名
      日本海洋政策学会第15回年次大会(2023)「総合的な海洋の安全保障とは:第4 期基本計画を読む」
  • [備考] 北海道大学学術成果コレクション:HUSCAP

    • URL

      http://http://hdl.handle.net/2115/90230

  • [備考] 九州国際大学学術成果リポジトリ

    • URL

      https://kiu.repo.nii.ac.jp/records/880

  • [備考] 日本海洋政策学会 第15回年次大会(2023)発表資料

    • URL

      https://oceanpolicy.jp/wp-content/uploads/%EF%BC%93-%E6%B2%B3.pdf

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公開日: 2024-12-25  

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