研究課題/領域番号 |
19KK0066
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
福泉 麗佳 東北大学, 情報科学研究科, 准教授 (00374182)
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研究分担者 |
星野 壮登 九州大学, 数理学研究院, 助教 (20823206)
前田 昌也 千葉大学, 大学院理学研究院, 准教授 (40615001)
小林 未知数 高知工科大学, 高知工科大学, 准教授 (50433313)
戍亥 隆恭 大阪大学, 理学研究科, 准教授 (70814648)
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研究期間 (年度) |
2019-10-07 – 2023-03-31
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キーワード | 量子流体 / 量子渦 / ホワイトノイズ |
研究実績の概要 |
昨年度に引き続き、新型コロナウイルスの影響により共同研究相手国であるフランスへの渡航は実現できなかった。一方で、世界的にテレワーク手段が発達したため、時差や通信障害などの問題はあるもののオンラインでの議論を行うことにより当初の研究計画に促した以下の成果を得ている。研究代表者は、A.de BouardとA.Debusscheと共同研究で温度効果を考慮した Bose-Einstein 凝縮モデルの空間2次元における正当化について論文の執筆を完成し現在査読審査中である。温度効果は散逸項とホワイトノイズを絶対零度の場合のモデル方程式に加えることで表現を行うが、散逸効果が大きいときに確率的な意味での強解を得ることに成功した。調和ポテンシャルを伴うシュレディンガー作用素に対するWick積を考えたところが新しい。散逸効果が小さい場合にはマルチンゲール解と呼ばれる弱い解しか得られず、今後引き続き改善を必要とする課題である。また、研究分担者星野と戌亥、研究代表者は消散項つき確率波動方程式の非相対論的極限を正当化することに成功し現在論文執筆中である。 また、研究分担者である小林は、 I.Danaila、L.Danailaらと共同研究を実施し、 量子乱流を数値的に扱う複数のアルゴリズムおよびGross-Pitaevskii方程式を高速で解くための複数のアルゴリズムを議論した。 様々な状況下における量子乱流シミューションの数値計算効率を比較し、成果をまとめた論文「Quantum turbulence simulations using the Gross-Pitaevskii equation: High-Performance computing and new numerical benchmarks」を Computer Physics Communications に発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
出張して議論できない分、少しずつであるがメールでのやりとりやZoomなどを用いて研究をすすめているが、当初の研究計画どおりではないことは否めない。提出した研究計画では、日本側の研究者がフランスに赴いて共同研究を行う予定であった。コロナウイルス感染が終息し二国間の旅行がいつ可能になるかも不確かであり、非常に 難しい状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
コロナウイルスへの感染がいつ収束するのか予想不可能なため、フランスへ派遣する目途がたたない。Zoomなどで引き続き研究をすすめる。今年度2月には分担者らと研究集会「量子渦と非線形波動」を行ったが、同様の会議を来年度も行う予定である。 今後の方針としては、星野・戌亥・福泉は確率非線形波動方程式の不変測度の一意性を確立できるよう目指す。福泉はオンラインでの議論により De Bouard・Debusscheと引き続き温度効果を伴う Bose凝縮モデルについて空間3次元の場合について研究を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
「国際共同研究強化」という種目であるので、相手国と共同研究を円滑に行うためには現地に赴く必要がある。しかしながら、前年度に引き続き、新型コロナウイルスの影響で、予定していたフランス(相手国)への出張を中止せざるを得なくなり次年度持ち越しとなっている。フランスへ出張できるようになったら使用する計画である。
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