研究分担者 |
及川 伸二 三重大学, 医学系研究科, 准教授 (10277006)
中村 哲 三重大学, 医学系研究科, 助教 (00437112) [辞退]
翠川 薫 鈴鹿大学, こども教育学部, 教授 (20393366)
有馬 寧 鈴鹿医療科学大学, 医療科学研究科, 教授 (30263015) [辞退]
XU YIFEI 三重大学, 医学部附属病院, 技術補佐員 (70952894)
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研究実績の概要 |
感染や食餌性因子などの環境因子はエピゲノムに強く作用する。本研究は炎症関連発がんの一つとして咽頭がんに注目し、環境因子がどのようにDNAメチル化やmicroRNAなどのエピゲノム異常に影響するのかを明らかにする。咽頭がんではEpstein-Barrウィルスやヒトパピローマウィルスの感染が重要である。日本における頭頸部癌でその治療前後で血中miR-21が変化し、治療奏功群では減少するのに対し、再発群では不変・増加を示すことを明らかにした(Carcinogenesis, 40, 1070-1076, 2019)。さらに、血中miR-21高値群では低値群に比べ予後不良であることを見出し、ヒト頭頸部癌培養細胞を用いて、miR-21阻害が抗がん剤および放射線照射への感受性を高めることを示した(J Radiat Res, 64, 668-676, 2023)。中国南部で多発する上咽頭癌におけるEpstein-Barrウィルス(EBV)およびヒトパピローマウィルス(HPV)の感染状況を調べた。その結果、EBV は上咽頭癌の90%で陽性であり、そのうち10% がEBVとHPVの共感染であった(BMC Cancer, 21, 929, 2021)。患者血漿中のcell-free DNAのメチル化率を測定し、RERG とZNF671のメチル化率を組み合わせることで上咽頭癌のスクリーニングができる可能性を示した(Cancer Sci, 111, 2536-2545, 2020)。上咽頭癌において、鉄の取込みに関与するトランスフェリン受容体(TFRC)の高発現が予後不良因子であることを見出し、ヒト上咽頭癌培養細胞においてTFRCをノックダウンすることでヌードマウス皮下移植モデルでの腫瘍形成を抑制することを示し、鉄の関与を明らかにした(Cancer Cell Int, 23, 185, 2023)。
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