研究課題/領域番号 |
19KK0240
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
木澤 義之 神戸大学, 医学部附属病院, 特命教授 (80289181)
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研究分担者 |
竹之内 沙弥香 京都大学, 医学研究科, 准教授 (00520016)
山口 崇 神戸大学, 医学研究科, 医学研究員 (10725394)
森 雅紀 聖隷クリストファー大学, 看護学研究科, 臨床講師 (10771868)
森田 達也 聖隷クリストファー大学, 看護学研究科, 臨床教授 (70513000)
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研究期間 (年度) |
2019-10-07 – 2025-03-31
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キーワード | アドバンス・ケア・プランニング / 自律 / Relational Autonomy |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、1)アジアにおける自律の考え方を明らかにすること、2)アジア文化に即した理想的なACPの介入方法を明らかにすること、3)APHNと協同して緩和ケアのリサーチフォーラムを実施し、日本が主導的役割を担う国際共同研究体制を整備すること、4)介入研究によりアジア文化に即したACP介入の有効性を検証し、そのメカニズムを明らかにすることである。 2019年度は、インドネシアのスラバヤで行われたアジア太平洋ホスピス緩和ケア大会の際に、各国の研究者とACPに関するリサーチミーティングを行い、学際的な議論を行った。また、アジア太平洋ホスピス緩和ケアネットワークのResearch Committeeを中心として、アドバンス・ケア・プランニングの研究グループを立ち上げ、ACP台北宣言を出したほか、ACPのアジアにおける定義に関するコンセンサス会議の開催を行った。また、国内では12月21日に、国内の研究者を集めて、東北大学において「Relational Autonomy研究会」を実施した。relational autonomyの概念そのものが不安定であり、ACPの概念も不安定であるので、ACPの議論をするときにrelational autonomyという表現を用いると、不明確な概念にさらに不明確な概念が追加されて議論が混乱する可能性が高いことが明らかとなった。したがって、relational autonomyという単語をそのまま使用するのではなく、「患者がもしものときを考えるうえで、家族との信頼をもとにすることの価値」、「意思決定において、個人の意思決定よりも、和を尊重することの価値」、「個人が意思決定するうえで、社会的通念のために本来希望しないことを希望する可能性」などより具体的な表現を用いて議論するべきであることが明らかにされた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね順調に進展しているが、新型コロナウイルス感染症の流行に伴う渡航制限により、各国でのフィールド調査やリサーチフォーラムの実施が難しくなる可能性を心配している。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染症が収束すれば予定通り実施の予定ではあるが、アジア6カ国を中心とした実地調査、2020年度にシンガポール、2022年にAPHNとともに台湾で予定していたリサ ーチフォーラム、観察研究、その新しい介入を用いた国際共同ランダム化試験の計画立案等は先行きが不透明である。今後の状況に合わせて、研究会議、リサーチフォーラムのWeb上での実施、質問紙調査の実施などを行い、今後5年間を通して、アジアにおける緩和ケア、終末期の意思決定に関する国際共同研究体制を構築する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、インドネシア、スラバヤでのAsia Hospice Palliative Care Conferenceが2019年8月1-4日に実施され、それに合わせて研究会議を実施し各種調査を行ったため、本補助金を使用できなかった。そのため、研究費用の多くが次年度使用に持ち越された。新型コロナ感染症の今後の動向は不透明であるが、収束すれば、来年度以降の研究フォーラムの実施、研究費用に充当する予定である。
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