研究課題
健康長寿を目指して運動が推奨されている。特に、運動器である骨格筋の機能の維持向上が重要な課題であるのは言うまでもない。一方、加齢に伴う骨格筋量と機能の低下(サルコペニア)に対する適切な運動処方は未確立であり、早急に解決が望まれている。しかし、サルコペニア発症機構は未解明であるだけでなく、運動刺激の増減に応じた骨格筋可塑性(肥大や萎縮や再生)の分子機序の全貌も明らかでない。サルコペニアを克服し、健康寿命の延伸を実現する運動を実施するためには、骨格筋可塑性の分子機構の解明は必須である。そこで本研究は、骨格筋細胞における運動刺激受容機構として筋衛星細胞と運動神経細胞・神経筋接合部のニッチに着目し、加齢に伴うこの空間的相互作用の変容によるサルコペニア発症メカニズムを解明し、運動効果増強によるサルコペニア克服策確立のための知的基盤形成を目指すことを目的として、米国ミネソタ大学との国際共同研究として5か年計画で実施される。2021年度は、その4年目にあたり、ミネソタ大学にて遺伝子改変動物を用いた実験を実施することを当初の計画とした。筋衛星細胞特異的Pax7遺伝子により発現する赤色蛍光強発現遺伝子tdTomatoと運動神経細胞に特異的なThy1遺伝子に緑色蛍光遺伝子YFPを導入したレポーターマウスを用いた運動刺激増加モデルおよび除神経モデル実験をさらに推進した。2年間のコロナ禍の影響により実験計画に遅れが出ていたが、今年度は、2度にわたりミネソタ大学への渡航が可能となり、研究計画の遅れを取り戻すことができた。現在、遺伝子改変動物実験で得たサンプルの解析を行っている。また、ミネソタ大学でも一部サンプルの解析が順調に進んでいる。次年度は、5年改革の最終年度となるが、必要な追加実験や解析の準備を進めている。
2: おおむね順調に進展している
2022年度は3年振りに渡航が可能となり、ミネソタ大学での実験を2度にわたり実施することができた。これにより、2年間のコロナ禍による研究計画の遅れを取り戻すことができた。したがって、おおむね順調に進展している状況に回復させることができたと考えている。
2022年度にミネソタ大学で実施した遺伝子改変動物を用いた実験の解析を進める予定である。
国際共同研究先である米国への渡航計画に変更が生じたため。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件) 備考 (1件)
Methods in Molecular Biology
巻: 2460 ページ: 217~225
10.1007/978-1-0716-3036-5_16
Neuroscience & Biobehavioral Reviews
巻: 136 ページ: 104617~104617
10.1016/j.neubiorev.2022.104617
https://sozo-ac.com/professor/goto_katsumasa/index.html