研究課題/領域番号 |
19KK0272
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
劉 庭秀 東北大学, 国際文化研究科, 教授 (70323087)
|
研究分担者 |
戸敷 浩介 宮崎大学, 地域資源創成学部, 准教授 (00542424)
大窪 和明 東北大学, 国際文化研究科, 助教 (50546744)
佐藤 正弘 東北大学, 国際文化研究科, 准教授 (60622214)
眞子 岳 東洋大学, 国際共生社会研究センター, 客員研究員 (80633528)
|
研究期間 (年度) |
2019-10-07 – 2023-03-31
|
キーワード | 遊牧民 / ハイブリッドカー / エネルギー格差 / 国際資源循環 / 持続可能性 / 環境汚染 / 再生可能エネルギー |
研究実績の概要 |
今年は文献書誌学の手法を用いて次世代自動車に関する関連先行研究を分析・考察した。次世代自動車の先行研究は、主にハイブリッド自動車と電気自動車を対象にしていることが多い。そして、ほとんどの学術論文は電気電子工学分野に集中している。また今までの次世代自動車関連の先行研究の内容と対象を分析すると、駆動用バッテリー、モーター、充電インフラ設備など、関連技術開発(特許出願)に力点を置くものが圧倒的に多いことがわかる。このように次世代自動車に関する研究は確実に進んでいるが、研究分野や研究対象が偏っている。つまり、次世代自動車に関する研究は、主に関連技術の革新に主眼を置いているため、既存の研究では「普及政策の比較分析」、「使用済み次世代自動車のリサイクル」、「環境影響分析」などの研究課題が十分に解明されていない。 本研究では、これらの課題を改善すべく、中国における電気自動車のバッテリーを事例に、環境影響と経済性評価を行った。この研究分析で分かったことは、①リチウムイオンバッテリーの構成素材の変化によって、ライフサイクル全体のおける環境負荷が少なくなる傾向がある。②使用済みバッテリーの「リサイクルなし」のシナリオに比べて、「リサイクルあり」のシナリオは、全体の環境負荷を半分以下に減らせる。③新素材(レアメタル、貴金属類など)を使ったリチウムイオンバッテリーの場合、バッテリーリサイクル事業の採算性が取れない可能性がある。よって、リチウムイオンバッテリーを効率良く資源循環させるためには、バッテリーリサイクル技術の革新とともに政府からの経済的支援が必要である。④使用済みリチウムイオンバッテリーの回収率は、リサイクル事業の環境負荷削減、経済性確保に最も重要な要因である。つまり、中古車・バッテリーの流通ルートをモニタリングし、使用済みバッテリーを徹底的に回収、リサイクルすることが重要である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナ禍の影響でモンゴル国への渡航ができず、現地におけるフィールドワークと共同研究の実施が難しい状況である。特に、現地は病院や医療施設のインフラ整備が遅れており、外国人の出入国を徹底的に禁止している。また、仮に入国ができたとしても非常に高いリスクを背負うことになる。よって、両国のワクチン接種が進むまでは、現地での国際共同研究を実施することには限界がある。極力、国内で実施できる研究内容を中心に研究成果を出しているものの、本来の研究計画と内容を考慮すれば、現在までの進捗状況は遅れていると言わざるを得ない。
|
今後の研究の推進方策 |
秋頃までコロナ禍の状況が改善できず、今年も渡航が難しくなった場合は、モンゴル国立大学に現地調査の実施を依頼し(予算執行方法の確認必要)、得られた調査結果を用いて分析を行いながら、オンライン研究会を繰り返す予定です。年内にワクチン接種が進み、来年2月か、3月に渡航ができることを期待しているが、そうなった場合も、研究期間の延長を真剣に考える必要がある。
|
次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響でモンゴル国への渡航ができず、海外渡航及びフィールワークのための費用支出ができなかった。年内にワクチン接種が進み、状況が改善できることを期待しつつ、国内で実施できる研究調査を進めていく計画である。また、モンゴル国立大学が独自に研究調査が実施できる場合、研究支援の方法(国際共著論文の投稿料、オンライン国際会議参加費など)についても積極的に検討していきたい。
|