研究課題
本国際共同研究の目的は、共同研究先のハンガリー国・Semmelweis University, Dr. Szebeniのグループと共同で、ヒトの薬剤誘導性アナフィラキシー反応を再現できるブタCARPA (complement activation-related pseudoallergy)モデルを用い、臨床で汎用されているPEG修飾タンパク製剤に対するアナフィラキシー反応誘導機構の解明を通じ、その回避策の構築を目指すことである。当該年度には、まずブタ投与用のタンパク製剤の選定と確保を進めた。また、これらの製剤によるブタ血清中での補体活性化を評価する前段階として、マウス血清を用いて補体活性化が評価可能であるか検討した。想定通り、補体フラグメントを指標とすることで、PEG修飾タンパク製剤による補体活性化を定量的に評価可能であることが確認できた。現在、ブタ血清を用いた検討を開始すべく、準備を進めている。また、ブタ脾臓をサンプルとし、脾臓内にPEGを認識するB細胞が存在するかを評価すべく、学内手続きを進めてもいる。さらに、患者血清を用いたリキッドバイオプシーによる薬剤選択の最適化のための検討を進めるために、ヒトサンプルの採集と評価に関して、徳島大学病院臨床研究倫理審査委員会に申請し、承認を受けることができた。患者同意を取得しつつ、サンプルの採取を進めている。共同研究先のDr. Szebeniとは、電子メールなどで役割分担について再度詳細を確認し、実験施設及び実験用のブタの確保など、現地での実験に向けた準備を進めてもらっている。
2: おおむね順調に進展している
現状、ハンガリーに渡航して実験を行う事は困難であるため、実験計画の中で国内で対応可能な実験を前倒しして行っている。ブタを用いての実験の準備と予備的検討を行う事ができ、また、ヒトサンプルを採取するための臨床研究が承認されるなど、国内での研究が想定以上に進んでおり、おおむね順調に進展していると判断した。
コロナウイルスの影響を注視しつつ、国内で行う研究を引き続いて前倒しして行い、計画通りの成果が得られるよう努める。特にブタを用いての研究は、学内の施設で実施可能であるため、積極的に推進する。ハンガリーの共同研究先とは、web会議などを通じて打ち合わせを密に行い、渡航が可能になり次第、本来の計画に基づいて現地での共同研究を速やかに開始する。
コロナウイルス蔓延の影響で、当初計画していたハンガリーでの実験を中止せざるを得なかったため。渡航が可能になり次第、旅費として使用する予定。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
J. Conrol. Release
巻: 323 ページ: 102-109
10.1016/j.jconrel.2020.04.011