本研究は、フィンランドにおいて進行する高齢者ケア制度のプライヴァタイゼーショ ン(民営化/私事化)について、地域間の比較研究を行うことで、営利企業の論理と家族/親族をはじめとするインフォーマルな論理の接合領域を描き出した。フィンランドの大学によるCOEプロジェクトに参画することで、申請者自身によるフィンランド西南地方の小規模自治体の人類学的調査の成果を他地域と比較した。地理・人口・言語条件の異なる地域を横断的に分析することで、都市/村落間での頻繁な人の移動によって地域間の連動性が維持されている一方で、村落部においても私的ケアの需給/支援状況にはかなり地域差があることが判明した。
|