本研究課題が構想された段階では、研究課題名にあるように「ハナコはタロウとの約束を守るべきだ」などの表現によって示される実践的な規範性と、「ハナコは真である命題を信じるべきだ」などの表現によって示される認知上の規範性の関係に関する探究が試みられる予定であった。しかしながら、国際共同研究を進める中で、科学的知見に訴えて実践的な規範性の実在を擁護する「局所主義的なアプローチ」の有効性が確認され、この点に関する研究を集中的に実施することになった。その結果、「他者を害する行為は悪い」などの個別の道徳的命題の真理性が関係する諸科学の知見(社会心理学、文化人類学など)によって擁護できることが示された。
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