本研究の結果は、成体の造血系における転写因子GATA1、GATA2の機能を明らかにするうえで重要な知見となるものである。GATA阻害剤によるEpo遺伝子発現誘導効果は、新規貧血改善薬の開発につながると期待されるが、今回の解析結果はGATA阻害による造血系への抑制性作用、および主要なEPO産生細胞でのEPO産生制御へのGATA因子の正の関与を示すものであり、GATA阻害によるEPO産生誘導効果を得るには組織特異性を高める必要があることを示せたと考える。また、本研究の結果はドーピングなどでのGATA阻害剤の安易な使用を抑制する意味でも社会的意義があったと考えている。
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