• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2023 年度 実施状況報告書

正確な生体内ゲノム編集評価システムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 19KK0401
研究機関東京大学

研究代表者

吉見 一人  東京大学, 医科学研究所, 准教授 (50709813)

研究期間 (年度) 2020 – 2024
キーワードCRISPR-Cas3 / オフターゲット解析 / 標的特異性
研究実績の概要

汎用性、安全性の高い高効率なゲノム編集ツールは、様々なライフサイエンス分野の基礎研究・応用研究両面に必要不可欠な技術である。国産ゲノム編集技術として開発したCRISPR-Cas3を社会実装できるゲノム編集ツールとして確立するためには、安全性や効率などを正確に評価する必要があるが、CRISPR-Cas3の標的特異性を正確に評価できる解析手法は確立されていない。本課題研究では、スイス連邦工科大学のJacob Corn教授らと共に、CRISPR-Cas3の生体内ゲノム編集における正確な評価システムの開発を目指している。
本年度は、2020年から2021年にスイス連邦工科大学に滞在してChip-seq技術を用いて樹立した新規オフターゲット検出法DISC 3-seqの検証を行った。実際にin silico解析でオフターゲット候補領域を含む複数領域を選択して検証した結果、DISC 3-seqでもミスマッチの少ない領域の検出が可能だった一方、配列に依存しない領域も検出されたことから、CRISPR-Cas3システムが標的配列以外の領域に影響しうることが観察された。現在、DISC 3-seqのみで検出された領域についての変異導入効率を検討しており、今後細胞に加えて生体内での効果を詳細に検討することで、CRISPR-Cas3システムのゲノム編集効果を詳細に評価したい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究では、DNA修復因子を利用したin vivoゲノム編集評価法を開発し、CRISPR-Cas3が汎用性および安全性の高いゲノム編集ツールであることを実証することである。本年度ヒト培養細胞を用いて、DNA修復関連因子Mre11に対する抗体を用いたChip-seqを行いそのピークを検出する方法をDISC 3-seqとして確立した。DISC 3-seqで検出された領域についてin silico解析で得られた領域との相関を評価した結果、少ないミスマッチ領域の検出ができる一方、配列に依存しない領域も検出されたため、これが検出エラーなのか実際の標的非特異的ゲノム編集によるものか、の検証が必要となった。そのため、2024年3-4月にスイス連邦工科大学に滞在して再度検証実験を行い、結果について議論を重ねているが、実証研究に遅れが生じている。次年度への計画延長を申請済みであり、最終的に、正確なオン・オフターゲット検出法として利用可能かを検証し、具体的な数値としてオフターゲット効果を算出する方法の確立を目指す。

今後の研究の推進方策

異なる標的配列、特にオフターゲットが生じる可能性が高い標的を念頭に、継続したChip-seq解析を行うとともにDISC 3-seqのみで検出された領域についての変異導入効率を検討し、全ゲノム中でのオンおよびオフターゲットへの効果を検討する。最終的には、得られた結果をin silico解析ツールに落とし込むことで、新しいオフターゲット予測プログラムを開発し、世界中のユーザーが利用可能なwebツール化を目指す。またin vivoゲノム編集時のオフターゲット評価を行うため、CRISPR-Cas3導入マウス、ラットを作製しており、現在機能解析中である。最終的にin vivoでのゲノム編集効率、オフターゲット効果を検討することで、遺伝子治療に向けて有用なツールであることを示す。

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 3件、 招待講演 5件) 産業財産権 (2件)

  • [雑誌論文] A novel Kit mutant rat enables hematopoietic stem cell engraftment without irradiation2024

    • 著者名/発表者名
      Iida Ryuya、Ishida Saeko、Wang Jinxi、Hattori Kosuke、Yoshimi Kazuto、Yamazaki Satoshi、Mashimo Tomoji
    • 雑誌名

      Experimental Hematology

      巻: 132 ページ: 104174~104174

    • DOI

      10.1016/j.exphem.2024.104174

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Cyba and Nox2 mutant rats show different incidences of eosinophilia in the genetic background- and sex-dependent manner2023

    • 著者名/発表者名
      Mori Masayuki、Dai Jian、Miyahara Hiroki、Li Ying、Kang Xiaojing、Yoshimi Kazuto、Mashimo Tomoji、Higuchi Keiichi、Matsumoto Kiyoshi
    • 雑誌名

      Experimental Animals

      巻: 72 ページ: 233~241

    • DOI

      10.1538/expanim.22-0122

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 【遺伝を考える】(III章)遺伝子操作とゲノム医療 CRISPR-Casシステム ゲノム編集と医療への応用2023

    • 著者名/発表者名
      吉見一人,真下知士
    • 雑誌名

      日本医師会雑誌

      巻: 0 ページ: 194-197

  • [雑誌論文] タイプI CRISPRを用いたゲノム編集技術2023

    • 著者名/発表者名
      吉見一人
    • 雑誌名

      生化学

      巻: 0 ページ: 818-822

  • [学会発表] CRISPR-Casシステムを用いたマウス・ラットのゲノム編集2023

    • 著者名/発表者名
      吉見 一人
    • 学会等名
      第8回日本ゲノム編集学会
    • 招待講演
  • [学会発表] Molecular mechanism of type I-E CRISPR-Cas3 mediated DNA breaks and its application to genome editing in zygotes2023

    • 著者名/発表者名
      Kazuto Yoshimi, Kohei Takeshita, Noriyuki Kodera, Yamauchi Yuko, Kosuke Hattori, Taniguchi Hiromi, Yamamoto Masaki, Mashimo Tomoji
    • 学会等名
      Genome Engineering: CRISPR Frontiers 2023 at Cold Spring Harbor Laboratory?
    • 国際学会
  • [学会発表] Development of a novel genome editing tool, Type I-E CRISPR, and its application in experimental animals2023

    • 著者名/発表者名
      Kazuto Yoshimi
    • 学会等名
      9th Asian Federation of Laboratory Animal Science Associations Congress 2023
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Genome editing technology and applications with the type I-E CRISPR system2023

    • 著者名/発表者名
      Kazuto Yoshimi
    • 学会等名
      JAACT 2023
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] CRISPR-Cas3とは何者?どのようにして使えるのか?2023

    • 著者名/発表者名
      吉見 一人
    • 学会等名
      第46回日本分子生物学会年会バイオテクノロジーセミナー
    • 招待講演
  • [学会発表] Type I CRISPR-Cas3システムを用いたゲノム編集技術2023

    • 著者名/発表者名
      吉見 一人
    • 学会等名
      第46回日本分子生物学会年会
    • 招待講演
  • [産業財産権] 改良されたCRISPR-Cas3システム2024

    • 発明者名
      雑賀啓明、真下知士、吉見一人、村中俊哉、安本周平
    • 権利者名
      雑賀啓明、真下知士、吉見一人、村中俊哉、安本周平
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      特願2024-42105
  • [産業財産権] CRISPR-Casシステム、標的DNAを編集する方法、標的DNAが編集された細胞を製造する方法、標的DNAを検出する方法、及びキット2024

    • 発明者名
      真下知士、吉見一人、阿部洋、阿部奈保子
    • 権利者名
      真下知士、吉見一人、阿部洋、阿部奈保子
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      特願2024-47341

URL: 

公開日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi