外傷や頭頚部腫瘍切除後に発生する顔面神経麻痺は発話や食事に影響を及ぼすことから、患者QOLを著しく低下させる。外科的治療として自家神経移植が一般的に行われているが、神経採取部位の感覚障害が問題となる。本研究では自家神経移植に代わる治療法の開発を目指し、DFATsおよびADSCsに由来する細胞抽出物の組織再生効果に着目した。CE-ADSCsに含まれるタンパクが末梢神経再生に寄与する可能性が示唆されたことから、今後ヒトへの臨床応用を目指し研究を続けることで、顔面神経麻痺に対する新しい治療法の選択肢を提供できると期待される。この点が本研究の学術的・社会的意義である。
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