研究課題/領域番号 |
19KT0020
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
荒川 豊 九州大学, システム情報科学研究院, 教授 (30424203)
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研究分担者 |
安本 慶一 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (40273396)
林 優一 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (60551918)
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研究期間 (年度) |
2019-07-17 – 2022-03-31
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キーワード | IoT / トラスト / セキュリティ / 通信トラヒック分析 / 電磁波解析 / 行動認識 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、急速に広がるIoT機器を安心して利用するために、情報機器に対するトラストを構築する手段を提供することである。IoT機器は設置時の初期設定以外はほとんどユーザが中身を考えなくて良いように設計されている。その結果高い利便性と引き換えに動作はブラックボックス化しておりどのような機能がどのようなタイミングで動作してどのようなデータがインターネット上に送られているのか把握することは難しい。 その問題に対して、我々はIoT機器の入出力を監視しそこから得られる情報から機器の動作を推定することを目指している。3年目は、IoT機器の中でもスマートスピーカーに焦点を当て、これまでに構築した観測システムを用い、(1)通信トラヒック分析に基づく発動機能推定に関する研究、(2)漏えいする電磁波を計測に基づく内部処理推定に関する研究、さらに(3)精度改善のための行動認識に関する研究や(4)プライバシーを保護するアップロード頻度調整手法について研究を進めた。 スマートスピーカーの動作に関しては、通信トラヒックを機械学習によって学習することで、Amazon Echo Spotの8種類の機能を74.34%で推定可能であることがわかった。電磁波に基づく内部処理推定については、スマートスピーカーが設置される環境、給電線の接続状態が影響を与えることを明らかにした。行動計測では、消費電力センサ、人感センサ、環境センサを組み合わせ、リアルタイムに行動認識を行うシステムを構築した。プライバシーを保護する通信手法は、通信トラヒックから行動がわかってしまうという問題への対処として検討したもので、トラヒックパターンを意図的に変化させてクラウドにアップする手法を提案した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍の影響は多少あったが、九州大学および奈良先端大に構築済みの環境を用いて、データ計測実験を行い、分析と学会発表を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
研究は、概ね予定通り進んでおり、最終年度はそれぞれが取り組んでいるシステムの精度改善を進めるとともに、個々のシステムを統合していく予定である。また、さまざまな機器の計測を進め、認識可能な機器、機能を増やしていく。そして、IoT機器の設置者が、機器の活動ログを簡単に確認できるIoT活動量計を開発する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
学術研究員を雇用する予定であったが、適当な人材が見つからずに、人件費の繰越が生じている。また、コロナ禍により、国際会議発表、国内会議発表ともにオンラインとなり、旅費が不要になったため、未使用額が生じた。 次年度は、学術研究員を引き続き探すとともに、学会発表を積極的に行う。また、システムをより実用性の高いものにしたり、オープンソースとして公開するための整備費用など、研究成果をより強化するために利用する。
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