研究概要 |
本研究は超新星母銀河の狭帯域撮像を行うことにより、超新星の出現場所の金属量と星生成活動の状態を空間分解して調べようというものである。特にIa型超新星にみられる明るさのばらつきを、母銀河の環境と比較することによって、ばらつきの原因を探ろうというものである。観測手段としてはDichroic Mirror型カメラ(以下DMC)を多波長ファブリペロー分光モードも含めて用いることを中心とする。 本年はまずDMCの過去の観測から性能を評価、まとめを行い、フランスで開かれたSPIEの国際研究会において口頭講演を行い、集録としても発表した。また超新星母銀河NGC4490のDMCによる画像を解析し、母銀河の場所別の年齢推定を行った(早野淳二・東京大学修士論文)。 また金属量測定のため、ファブリペローの次数選択フィルターの詳細検討を行い、最も有効に観測可能な波長を選択して、当初より性能の高いフィルター3枚を製作し、Hα, Hβ, [NII], [SII]という渦巻銀河において強い輝線を出している波長を観測可能とした。次年度に[SIII]のフィルターを追加することで、渦巻銀河の金属量の詳細測定が可能となる。 また塵による減光量を測るため、Paβ線による狭帯域撮像観測を広島大学1.5mかなた望遠鏡に近赤外線カメラANIRを進めた。これは当初の計画よりもより広い波長範囲で水素の輝線を取得し、塵による減光量の測定精度を向上させ、測定可能な範囲を広げることになる。実際に数個の銀河でデータを取得し、結果を解析中である。 また超新星観測で見つかった大変不思議な天体について、結果を論文としてまとめた。
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