研究課題
本申請課題では、薬学研究者による腫瘍血管特異的なモノクローナル抗体開発と、工学研究者によるイメージングのためのマテリアル開発、さらには、医学研究者の分子イメージング技術を融合することにより始めて可能となる、医・工・薬連携のimmuno-SPECT,immuno-MRIによる、腫瘍血管の発達イメージングを達成しようとするものである。本年度は、どのような特性を有する抗体をイメージングに供するべきかを評価する目的で、Robo4,VEGFR2のに対する腫瘍血管マーカー抗体(細胞内侵入抗体及び細胞内非侵入抗体)をRIでラベル化し、その体内動態を評価した。その結果、同じ抗原を認識する場合であっても、細胞内に浸入する活性を有する抗体の方が、非侵入抗体よりも数倍、腫瘍集積性が高いことを見出した。また、同様のRIラベル抗体を用いたin vitroでの血管内非細胞への取り込み実験から、細胞内侵入抗体は、効率的にVEGFR2などの標的の継続的な供給を促し、細胞内へと蓄積する性質を有することが示された。本性質は、本申請課題が目指す、腫瘍血管内皮細胞の特異的ラベリングに有用なものとなるものと期待できる。また、MRI用プローブとしては、直径20nm程度の酸化鉄ナノ粒子MoldayIONだけでなく、直径100nm程度のFeridexを用いたPEG化Au-Feridexの腫瘍造影能を評価したところ、本造影剤は、血中から速やかに消失し、腫瘍を高いS/N比で検出できることが示された。血中滞留性の高いMoldayION型造影剤と腫瘍造影のS/N比に優れる今回のFeridex型造影剤は体内分布が全く異なるため、今後どちらの造影剤が本研究課題の目的に合致するかを検証する必要がある。SPECT、PETへの展開については、抗体をSPECT用核種である123Iでラベル化する技術を確立し、現在、協力研究者の大阪大学大学院医学系研究科、畑澤教授の協力の下、抗体による腫瘍イメージング実験を実施中である。今後、これらの確立された技術を用い、実際のイメージングへ展開し、その評価を行うことで、本申請課題の目指す、腫瘍血管の発達評価が達成できるものと期待できる。
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http://www.dma.jim.osaka-u.ac.jp/kg-portal/aspI/RX0011D.asp?UNO=15207&page=1