研究課題
1.酵母のEsa1のクロモドメインはRNA結合活性を持つことを解明したが、Esa1のヒトホモログのTip60のクロモドメインの構造を解析し、RNA結合活性を調べたがRNAに結合しないことを見出した。Esa1でN末に存在する変性領域を含んだ部位がTip60のクロモドメインにはなく同じホモログであっても構造と機能に多様性があることが分かった。2.ヒストンの大腸菌発現系を用いてヒストンH2A/H2Bの複合体を調製した。H2A/H2Bの2量体で、MSで分子イオンを観測するのに適した試料調製法やMSの測定条件の最適化を行った。さらにH2AをPAD4でシトルリン化し、H2AのN末のフレキシブルなアームがシトルリン化されH2A/H2B複合体の構造の安定性が増すことが分かった。またH2Aをラベルした複合体でNMR測定を行った。3.TRF2の塩基性ドメインと2量体形成ドメインをシステインのSS結合でモデル化した変異体を作成し塩基性ドメインは天然変性状態であり、2量体特異的な核酸結合活性があることが分かり、その特異性を検討した。4.神経特異的な転写抑制因子RESTのN末の転写抑制ドメインとSin3との複合体構造に基づいてSin3に結合する化合物のNMRスクリーニングを行ないさらにSTD実験から4個の化合物を同定した。これらの化合物について、NRSFが関連する髄芽腫での細胞阻害活性を市大医学部と共同研究で調べたところ2個において増殖阻害活性が見出された。転写抑制因子RESTのC末の転写抑制ドメイン(RD2)はZnフィンガーを含んでいて、DNA結合能を持つことを見出した。5.基本転写因子のTFIIEとTFIIHの相互作用に関しては、TFIIEのαサブユニットのC末酸性ドメインとTFIIHのp62サブユニットが複合体構造に基づいて動的構造の解析を開始した。6.Eaf3のクロモドメインの構造を解析しメチル化ヒストンとの新規認識機構を解明した。
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